【JSTQB対策】テスト工数に影響する要因を徹底解説

テスト工数の見積もりに影響する、4つの要因とは

テスト工数の見積りとは、特定のプロジェクト、リリース、イテレーションにおいて、テスト目的を達成するために必要な作業工数を予測することです。適切な見積りを行うためには、工数に影響を与える様々な要因を体系的に理解し、それらを考慮した計画を立てることが不可欠です。
正確な見積りができるかどうかは、どのような要因がテスト工数に影響するかを理解しているかどうかにかかっています。

JSTQBシラバスでは、テスト工数に影響する要因を以下の4つのカテゴリに分類しています。

 

1.プロダクトの特性

プロダクトの特性は、テスト対象となるソフトウェア製品やシステム自体の性質に関わる要因です。

●プロダクトに関連するリスク

製品の利用者や提供者に害をもたらす可能性

●テストベースの品質

要求仕様書、設計書、議事録などの基盤となる資料の品質

●プロダクトの規模

開発対象の大きさや機能の数

●プロダクトドメインの複雑度

対象業務や技術領域の複雑さ

●品質特性の要件

セキュリティ、信頼性、性能、使用性などの非機能要件

●テストドキュメントの詳細度要求

作成すべき文書の詳細レベル

●法規制への適合性要件

業界固有のルールや規制への対応

【実例】
金融システムの場合、高いセキュリティ要件と厳格な法規制適合性が求められるため、通常のWebアプリケーションよりも多くのテスト工数が必要になる場合があります。

2.開発プロセスの特性

プロジェクトで採用される開発手法やプロセスに関わる要因です。

●組織の安定度合いと成熟度合い

人員の入れ替わり頻度や組織の成熟レベル

●使用している開発モデル

ウォーターフォール、アジャイルなどの選択

●テストアプローチ

採用するテスト戦略や手法

●使用するツール

テスト自動化ツールや管理ツールの活用度

●テストプロセス

標準化されたプロセスの有無と成熟度

●納期のプレッシャー

スケジュールの厳しさや変更の頻度

【実例】
アジャイル開発では短いイテレーションでの反復開発により、テスト工数の配分や見積り方法が従来のウォーターフォール開発とは大きく異なります。また、テスト自動化ツールの導入により、初期投資として工数は増加しますが、長期的にはテスト実行工数の大幅な削減が期待できます。

3.人の特性

プロジェクトに参加するメンバーの能力や特性に関わる要因です。

●スキルと経験

技術的スキル、テスト技法の習熟度、業界経験

●ドメイン知識

対象業務や類似プロジェクトでの経験

●チームのまとまり

メンバー間のコミュニケーション能力と協調性

●リーダーシップ

プロジェクト管理能力と方向性の明確さ

【実例】
同じ金融業界での開発経験を持つメンバーが多い場合、業界特有の要求事項やリスクを理解しているため、適切なテストケース設計ができ、結果的にテスト工数を効率化できます。逆に、経験が浅いメンバーが多い場合は、学習コストや指導工数を見込む必要があります。

4.テスト結果

テスト実行過程で得られる結果に基づく要因です。

●検出した欠陥の数と重要度

発見されるバグの量と深刻さ

●必要な再作業の量

修正、再テスト、回帰テストの規模

 

テスト結果は予測が困難な要因でもあります。想定よりも多くの重大な欠陥が発見された場合、修正とそれに伴う再テストで大幅な工数増加が発生します。逆に、品質の高いソフトウェアの場合は、当初の見積りよりも工数を削減できる可能性があります。

まとめ

テスト工数に影響する要因の理解は、単なる試験対策にとどまらず、実際のプロジェクトでの成功に直結する重要な知識です。
プロダクト特性、開発プロセス特性、人の特性、テスト結果という4つのカテゴリを体系的に理解し、それぞれの要因がどのように工数に影響するかを把握することで、より精度の高い見積りと効果的なテストマネジメントが可能になります。

 


JSTQB(日本ソフトウェアテスト技術者資格)は、ソフトウェアテストの専門的な知識と技術を認定するための資格です。この資格は、ソフトウェアテストのプロフェッショナルとして必要なスキルを証明するものとして、業界で広く認知されています。
JSTQBは、国際的な基準であるISTQB(International Software Testing Qualifications Board)に基づいており、日本国内のソフトウェアテスト分野における実務能力を向上させるための指針となっています。
株式会社NSITでは、ソフトウェアテストに従事するエンジニアの約9割が、JSTQBの資格を取得しております。