【JSTQB対策】ソフトウェアテストにおける、テストの開始基準

ソフトウェアテストにおける、テストの開始基準

テストの開始基準とは、特定のテスト活動やフェーズを開始するために満たされるべき前提条件のことです。
これらの条件が満たされない状態でテストを始めてしまうと、作業効率が大幅に低下し、想定以上の時間とコストがかかったり、プロジェクト全体のリスクが高まる可能性があります。

開始基準の重要性

開始基準を設定することで、以下のような効果が期待できます。

●効率的なテスト実行

必要な準備が整った状態でテストを開始できるため、無駄な作業を避けられます。

●品質の向上

適切な環境と条件でテストを実施することで、より信頼性の高いテスト結果が得られます。

●リスクの軽減

準備不足によるテスト漏れや不正確な結果を防げます。

代表的な開始基準

以下に典型的な開始基準を示します。

●テストウェアの準備状況

・要件の明確化:テスト対象となる機能要件・非機能要件が明確に文書化され、承認されていること

・テストケースの作成:実行予定のテストケースが作成され、レビューが完了していること

・ドキュメントの品質:設計書や仕様書などのテストベースとなる文書の品質が一定水準に達していること

・テストの目的、範囲:それぞれのテストレベルに応じた目的や範囲が、明確に定義されていること

●テスト対象の品質レベル

・前工程の完了:テストアイテムが、前段階のテストレベルの終了基準を満たしていること

・初期不具合の修正:開発段階で発見された致命的、重大な不具合が修正され、テスト可能な状態となっていること

・基本動作の動作確認:主機能が最低限動作することが確認されていること

●リソースの確保

・人的リソース:テストチームのメンバーが確保され、必要なスキルを持つ担当者が配置されていること

・ツールとシステム:テスト実行に必要なツールや欠陥管理システムなどが利用できるように準備できていること

・テスト環境:そのテスト活動に必要な環境が準備できていること

・テストデータ:各種テストシナリオに対応した適切なテストデータが準備完了していること

アジャイル開発における適用

アジャイル開発では、テストの開始基準は「Ready(準備完了)の定義」と呼ばれることが多く
スプリント単位で短期間の開発サイクルを回すアジャイル開発においても、各フェーズの開始基準を明確にすることで、品質を維持しながら迅速な開発を実現できます。

まとめ

テストの開始基準は、単なる形式的な手続きではなく、プロジェクトの品質とスケジュールを両立させるための重要な管理ツールです。
適切に設定・運用することで、効率的で効果的なテスト活動が実現でき、最終的にはユーザーに高品質なソフトウェアを提供することにつながります。

 


JSTQB(日本ソフトウェアテスト技術者資格)は、ソフトウェアテストの専門的な知識と技術を認定するための資格です。この資格は、ソフトウェアテストのプロフェッショナルとして必要なスキルを証明するものとして、業界で広く認知されています。
JSTQBは、国際的な基準であるISTQB(International Software Testing Qualifications Board)に基づいており、日本国内のソフトウェアテスト分野における実務能力を向上させるための指針となっています。
株式会社NSITでは、ソフトウェアテストに従事するエンジニアの約9割が、JSTQBの資格を取得しております。